妊娠している女性が歯周病にかかっている場合、早産になったり、 低体重児を出産する可能性が高まるという研究もその一つです。

米国をはじめとして、海外では 1990 年代前半から盛んに研究が 進んでいます。

日本での 疫学調査では、歯周病の妊婦は、そうでない妊婦に比べ、も 早産になりやすかったという驚くべき結果が出ています。歯ぐきの状態の悪い妊婦は、早産を来す危険性がそうでない妊婦に比べ約5倍も高かったという報告があります。

また、、歯周病が進んだ妊婦では、早産および低体重児出産の危険性が 7 倍高まるといった報告や、歯周病が進んだ妊婦ほど早産の頻度が 高かったという報告などがあります。

なぜ歯周病にかかっていると、早産になりやすいのでしょうか?

体内の炎症反応に関与している生理活性物質の「サイトカイン」がカギを握っていると考えられています。歯周病菌に感染すると、体内の免疫をつかさどる細胞から、サイトカインが過剰に出され、歯の組織に炎症が起こることが知られています。しかし、最近、歯周病にかかっている人は、歯の組織だけではなく、血液中のサイトカイン濃度も上昇していることが明らかになってきました。

妊娠している場合、サイトカイン濃度の上昇は、炎症以外に「出産開始の合図」でもあります。このため、歯周病によるサイトカイン濃度の 上昇を、体が出産の準備ができた合図と判断してしまい、子宮筋の収縮などが起こって切迫早産に至るのではないかと推測されます。

こうした現状を改善しようと、切迫早産の妊婦に対し、歯ブラシの指導などを行って、早産が減少するかどうかを 現在検証されています。既に、チリでは、400 人の妊婦を対象にした研究で、歯周病治療を行うと、早産や低体重児出産の割合が約 5 分の 1 に減少したという報告があります。

歯周病治療によって、どれだけ早産のリスクを減らせるかどうかは、今後の研究次第です。しかし、現段階でも、歯の状態が全身の健康と密接に関わっていることは確かです。妊娠が分かったら、まず歯科を受診し、歯周病などの有無をチェックするようにしてください。